読んだ本
三津田信三さん『水魑の如き沈むもの』
2010年本格ミステリー大賞受賞作だ。前半が、ちょっと長く、たるい。また、本作は、ちょっとギャグが目立つ。あまり要らないと思う。ただ、中盤からはもう止まらなくなる。『山魔』同様推理が二転三転しその臨場感がたまらない。面白い一冊だ。
最新作『幽女の如き怨むもの』とうのがあるようだが、まだ、単行本として出ていないようだ。
三津田信三さん『山魔の如き嗤うもの』
これは、面白かった。まずは、登場人物の手記から始まり、その不思議な体験とその後に起こる事件に刀城言耶が解釈を与えていく。いつものごとくその推理が二転三転し、最後は止まらなくなりいっきに読んでしまった。
ロランバルト氏 『記号の国』
日本に関する本。氏の観察力がすごいな。特に、俳句に関する話は面白かった。西洋の詩というのは、なんらか意味を表しているそうだ、と書くとかたっくるしいが、いわゆる比喩的表現になっている、ということのようだ。ところが、俳句は「意味の中断」だという。俳句が言っていることは、何かの比喩ではなく、ただたんに「このような!」と言っているだけだと言う。それが正しいか正しくないかではなく、バルト氏が限られた俳句を、しかも翻訳を介して読んで、このような深い洞察を行うところがなんともすごい。