今週読んだ本

ダブル・ジョーカーが面白かったので、柳広司さんのジョーカー・ゲームを読んだ。ダブル・ジョーカーよりは、主人公の結城中佐が表に出てきていた。そこまで考えるか!ってところがとても面白い。でも、ダブル・ジョーカーの方が面白かったかな。
続いて、諏訪哲史さんの『アサッテの人』を読んだ。帯の書評とタイトルから笑えるような面白い話かと思って買った本だが、そうではなかった。『一度読んで楽しむだけでなく…』という書評がついていたが、楽しいか?これ読んで。楽しい、なんて思える感覚が理解できない。読む価値のないつまらない本、というのではない。実際読んでよかったと思ったし、考えさせられた。
しかし、これは、小説、つまり、作家の創作なのだろうか?実在のモデルがある、一種のドキュメンタリーのように思える。というのは、もし、これが、完全に作家が想像の中で作り出したものだとすると、この超現実的な実在が頭に思い浮かぶ作家の発想がとても信じられない。現実世界にはさまざまな想像を絶することがらがあり、それらを知ったときにこの上ない驚きがある。そういったことは、頭で考えていただけでは決してたどり着けないことだと思う。『語りえぬものについては沈黙すべし』とヴィトゲンシュタインは言ったが、この小説は、その『語りえぬもの』、想像ではたどり着けないことを語ってしまった感じだ(もし、創作なら)。すごいな。