最近読んだ本

三浦しをんさんの『星間商事株式会社社史編纂室』。今まで読んだ本と比べて、同じ作家のものとは思えなかった。ちょっと残念。
続いて、本谷有希子さんの『ぜつぼう』を読んだ。前に読んだ二作、『腑抜けども悲しみの愛をみせろ』と『生きているだけで、愛』に比べると少し迫力がなかったが、まぁまぁ面白かった。ただ、結末はなんかしっくりこないな。これは、一種のハッピーエンドなのか?
その次に『江利子と絶対』を読んだ。この本は、3篇の小説からなる。一つ目『江利子と絶対』は、『腑抜けども…』、『生きているだけで、愛』同様、なんともいえない文章の力強さがあり、ぐいぐいと引き込まれる。例えば、『お前らはただ世間から見捨てられることばかり気にしている馬鹿ばっかりだけど、エリは違う。こうやって自分から世間を見離すことが出来る。ちゃんと強制終了する権利を持っている。エリは世間と対等なんだ。』というせりふ。『非凡性』に対する憧れみたいなものを感じる。前述の二作同様傑作だと思う。二つ目『生垣の女』は少し気持ち悪く、特に猫を虐待するところは、私的には許しがたく、それだけで、もう気持ちが拒絶した。最後の『暗狩』は、いわゆるサスペンス。これは面白かった。『腑抜け…』等とは、まったく感じが異なるが、読み出すとやはり止まらなくなる。この作家は『生きているだけで、愛』で芥川賞候補になりながら賞そのものは逃したが、この『暗狩』は、『地獄変』や『羅生門』より面白いと思ったけどな、比べてもしょうがないかもしれないけど。